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2022.4月号:人事労務の法改正について

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人事労務の法改正について

新年度となりましたので、今年度の人事労務関係に関わる法改正を取り上げます。

女性活躍推進法の改正によって、何が変わったのでしょうか

現在、常時雇用する従業員が301名以上の企業に義務づけられている取り組みがいくつかありますが、この対象となる従業員数が101名以上と変更されます(100名以下の場合は努力義務)。
これらの企業は、①自社における女性の活躍に関する状況把握、課題の分析を行って、②数値目標を定めた行動計画の策定・社内周知・公表をし、③行動計画を策定した旨の都道府県労働局への届出、④女性の活躍に関する情報の公表、をしなければなりません。

パワハラ防止に関して、何かしなければならないでしょうか

パワハラ対策に関し、中小企業に認められていた猶予期間は4月1日まででした。したがって、現時点では以下の様なパワハラ対策の措置を講じる義務が生じています。仮に対策を取っていない場合、パワハラに関して企業の安全配慮義務違反が問われることになりますので、ご注意ください。

①パワハラの内容及びパワハラを行ってはならない方針を明確化し、労働者に周知啓発する(パワハラの具体例やそれが許されないこと・懲戒処分の対象となり得ることを内容とする研修・講習の実施)。
②パワハラを行った者に対し厳正に対処する旨の方針及び対処内容を就業規則その他の服務規律を定めた文書に規定し労働者に周知啓発する(懲戒処分の例として定める)。
③相談窓口を定め周知する(会社内部に限らず外部委託も可)。
④相談窓口の担当者が相談内容や状況に応じて適切に対処する(研修等を受講させた適切な対応が可能な担当者を選任する必要がある)。
⑤パワハラ相談の申し出後、迅速かつ適切な対応をすること(迅速かつ適切な事実確認、被害者に対する配慮の措置の適切な実施(配置転換等)及び行為者に対する適切な措置(懲戒処分等)、パワハラの事実が認定できたか否かにかかわらず職場全体における再発防止措置の実施)。
⑥相談時・または相談後、被害者・行為者等のプライバシー保護に必要な措置を講じ、労働者に周知する(情報漏洩のないよう相談担当者への指導教育の実施)。
⑦パワハラの相談や、事実関係の確認等に協力したことを理由とした不利益取り扱いの禁止

その他人事労務に関わる改正はなにがあるでしょうか

短時間労働者の社会保険加入に関する改正があります(10月から)。
雇用する被保険者の労働者が常時100人を超える事業所で働く短時間労働者であり、かつ、継続して2ヶ月以上使用される、または使用される見込みである場合に社会保険の加入対象となります。
また、成人年齢が18歳に引き下げられましたので、18歳以上であれば、親権者の同意なく雇用契約を締結しても、雇用契約が取り消されることはなくなりました。

【成田法律事務所】
所属弁護士:宮崎 寛之(みやざき ひろゆき)
プロフィール
中央大学法学部法律学科卒業、中央大学法科大学院修了後、弁護士登録(千葉県弁護士会)。日弁連裁判官制度改革・地域司法計画推進本部委員。平成29年度千葉県弁護士会常議員。主に、交通事故、労災事故、相続、離婚、中小企業法務(労務問題)を中心に活動を行うと共に、千葉県経営者協会労務法制委員会等の講演の講師も務める。

遺産分割解決事例

【Aさんの相談内容】
私の弟が亡くなりました。遺言はありません。遺産分割手続を進めようとしたところ、異母弟がいることが分かりましたが、行方が分かりません。親族の話によると、数十年前に海外に行ったきり、音信不通のようです。
相続人の中に行方不明者がいる場合、どのように遺産分割を進めればよいでしょうか。

【解決内容】

行方不明の相続人について、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立て、不在者財産管理人を交えて、遺産分割協議を成立させました。

【不在者財産管理人】

不在者財産管理制度は、家庭裁判所の監督の下で不在者の財産を管理する制度です。財産を管理する不在者財産管理人は、利害関係人(不在者の配偶者、相続人にあたる者、債権者など)や検察官の申立てに基づき家庭裁判所により選任され、家庭裁判所の監督の下で不在者の財産の管理を行います。
不在者財産管理人には、不在者の親族が選任されたり、弁護士、司法書士などの第三者が不在者財産管理人として選任されたりします。
この制度で対象となる不在者は、従来の住所又は居所を去り、容易に戻る見込みのない者とされ、例えば、長期の家出人や音信不通となっている人で、親戚、友人等に照会して行方を捜したものの、その所在が判明しない人などが挙げられます。

【遺産分割における不在者財産管理制度の活用】

遺産分割協議は、相続人全員で行わなければならず、一部相続人のみでなされた遺産分割協議は、無効です。
したがって、相続人の中に行方不明者がいる場合であっても、行方不明者を除く他の相続人のみで遺産分割協議をすることはできません。
そのような場合に、不在者財産管理人が選任されれば、行方不明者の代わりに不在者財産管理人との間で遺産分割協議を行うことができます。

【本件について】

本件では、当事務所が、不在者と共同相続人の立場にある利害関係人Aさんの代理人として、申立を行いました。
申立前には、行方不明の相続人が海外に行ったまま音信不通になっていることについて、出国当時の事情を知る親族から話を聞きました。また、外務省への所在調査依頼で、所在不明の回答を得ました。
これらの事情を明らかにして、家庭裁判所に申立を行ったところ、不在者財産管理人が選任されました。
不在者以外の相続人との間では、既に遺産分割の話がまとまっていたのですが、選任後、不在者財産管理人からも承諾を得られ、遺産分割を成立させることができました。
なお、不在者財産管理人が遺産分割に応じる際には裁判所からの許可が必要であり、また、不在者財産管理人は不在者の利益のために活動することから、不在者の取得分が法定相続分を下回る遺産分割は、原則としてできません。
本件でも、不在者を含む相続人全員が法定相続分を取得する内容で、遺産分割協議書を作成しました。

【かしま法律事務所】
所属弁護士:村田 羊成(むらた よしなり)
プロフィール
中央大学法学部卒業、中央大学法科大学院修了後、弁護士登録(茨城県弁護士会)。現在はかしま法律事務所に所属し、主に、交通事故、労災事故、相続、離婚、中小企業法務(労務問題)を中心に活動を行い、企業から個人の相談者まで、様々なお悩みや問題の解決に向けて奔走している。

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