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2023年6月号: 弁護士による債権回収

L+PRESS 2023年6月 PDFで見る

弁護士による債権回収

1 はじめに

当事務所では、「取引先が代金を払ってくれない!」という相談を受けることがよくあります。今回は、弁護士が債権回収のご依頼を受けた場合の一般的な流れをお伝えします。

2 弁護士による債権回収の流れ

弁護士による債権回収の流れは、事件ごとに異なりますが、一般的には、以下の流れで進んでいきます。

  1. 内容証明郵便等で請求書面を送付するなどして交渉
    弁護士が債権回収を行う場合、まずは弁護士名義で内容証明郵便を送って相手方に支払を求め、支払がない場合には訴訟等の法的手段をとることを通知しながら、相手方と交渉することが通常です。
    相手方から、支払義務や支払金額について反論が出てくれば、再反論を行って交渉を行いますが、相手方から応答がなかったり、交渉成立の見込みがなければ、訴訟提起を検討することになります。
  2. 相手方が交渉で支払に応じないときは訴訟を提起
    交渉を行っても相手方が支払に応じないときは、民事訴訟を起こすことが通常です。訴訟提起の際は、弁護士が訴状を作成し、依頼者の手元にある証拠とともに裁判所に提出します。
  3. 仮差押えの検討
    相手方の支払能力等に問題があり、訴訟で勝っても(勝訴)、支払がされない危険があるときは、訴訟中または訴訟提起前に、相手方の財産を仮差押えする手続を検討する必要があります。仮差押えをすることにより、相手方が訴訟中に仮差押対象財産を処分することができなくなり、相手方の財産が流出することを防ぐことができます。
  4. 勝訴しても支払がされなければ差押え
    勝訴しても支払がされないときは相手方の財産への差押手続を検討する必要があります。例えば、相手方の預金口座を突き止めて差押えすることができれば、銀行から直接、差し押さえた相手方の預金の支払を受けることができます。また、銀行預金の差押えのほか、給与の差押え、不動産の差押え、売掛金の差押えなど、事案に応じて様々な差押えを検討することになります。

3 弁護士に債権回収を依頼するメリット

取引先が代金を滞納している場合に、弁護士から連絡を受けただけで支払に応じるケースもあり、一般的には、自社で交渉するより、弁護士が交渉したほうが、債権を回収できる可能性が高いといえます。
また、滞納している相手方とは、感情的な対立が生じていることが多いところ、直接交渉することは心理的負担が大きく、冷静な判断も難しいため、弁護士に依頼することで適切な解決を図るメリットがあります。
そして、相手方の反論には、弁護士が法的な反論を行い、相手方が支払に応じなければ、ケースに応じた適切な法的手段を選択して債権回収を進められることが大きなメリットといえます。
債権回収にお困りの場合には、専門家である弁護士に早めにご相談いただくことをお勧めします。

【かしま法律事務所】
所属弁護士:村田 羊成(むらた よしなり)

プロフィール
中央大学法学部卒業、中央大学法科大学院修了後、弁護士登録(茨城県弁護士会)。現在はかしま法律事務所に所属し、主に、交通事故、労災事故、相続、離婚・不貞問題、中小企業法務(労務問題)を中心に活動を行い、ご依頼者様の人生やビジネスに立ちはだかる困難を取り除き、解決するために奔走している。好きな言葉は「学ぶとはいかに自らが知らざるかを知ること」。

交通事故解決事例

1 事案の概要

Xさんは、渋滞していた道路にて車両を停車中、前方不注意で後方より直進してきたYさんから衝突され、頸椎捻挫等の怪我を負ったことから当事務所にご来所の上、ご依頼されました。Xさんは、約半年間にわたり通院を継続し(実通院日数は約90日)、治療を終了した上で、相手方と示談交渉を行いました。しかし、相手方(相手方保険会社)とは主として休業損害の点で折り合いが付かず、交渉を断念し、紛争処理センターを利用することとしました。

2 紛争処理センターとは

交通事故に関して相手方(相手方保険会社)との解決を図る方法としまして、大きく分けると①交渉、②紛争処理センター(以下、「紛セン」といいます。)による和解あっせん、③訴訟がございます。それぞれ、メリットやデメリットがございますが、今回はその中で②紛センについて言及したいと思います。
紛センとは、自動車事故の被害者と加害者又は加害者が加入している保険会社や共済組合等との示談をめぐる紛争の解決を図るべく、双方の間に立って、法律相談・和解あっせん・審査手続を無料で行っている機関となります。本件では、和解あっせんの利用をしました。通常、和解あっせんでは、あっせん日の調整後、月1回程度の頻度で期日が開かれ、あっせん人(センター担当弁護士)のもとで当事者双方から話を聞き、進めていきます。統計的には第3〜4回目の期日で解決に至る事案が多いようです。

3 本件の事案

本件において、Xさんは内装業を主として行う会社の代表取締役でした。代表取締役や取締役の場合、役員報酬という形で収入があり、そもそも減収がなかったり、役員報酬のうちどの部分が労務対価分なのか明らかではない場合が多く、相手方と交渉が上手く進まないことも少なくありません。本件の場合も同様でした。もっとも、Xさんの会社は従業員も数名で、Xさん自身も現場で作業を行い実働している方でありました。
紛センにおいて、当職は、Xさんの所得や実働がわかる資料等を提出して期日に向かいましたが、休業損害については当方の主張どおりの金額は提示されませんでした。もっとも、少なくとも実際に通院している日(約90日)については業務に支障が出たことは明らかであるとして、合計約90万円の休業損害で合意に至ることができました。

4 おわりに

交通事故事件の場合、交渉で解決に至れることが弁護士にご依頼するしないに関わらず、多いかと思われます。もっとも、交渉にて相手方と思うように合意に至れずとも次なる手続に移行することで増額できる場合もございます。紛センは個人でも利用可能な制度であり、訴訟までは煩雑な手続ではありません。もっとも、提出資料の収集や期日への参加等、事務的なご負担もあり、弁護士に依頼するメリットも少なくありません。交通事故に遭われた際には、適正な損害賠償を受けるためにもお気軽に弁護士にご相談ください。

【千葉法律事務所】
所属弁護士:大﨑 慎乃祐(おおさき しんのすけ)

プロフィール
専修大学法学部法律学科卒業、専修大学法科大学院法務研究科修了。弁護士登録(千葉県弁護士会)以降、ご依頼者様のトラブル内容に対し、解決するための法的根拠や理由を丁寧に分析し、しっかりした主張を展開して解決に導けるよう、交通事故や一般民事、刑事事件などの分野で活動を行う。趣味はサッカーやジョギング、好きな言葉は「文武両道」。

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