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2023年12月号: いわゆるフリーランス保護法について

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いわゆるフリーランス保護法について

1 はじめに

企業等と取引するフリーランスの保護が問題となっていたところ、今年春にいわゆるフリーランス保護法(特定受託事業者にかかる取引の適正化等に関する法律)が可決成立し、公布されました。遅くとも来年秋ごろには施行予定です。
今回は、このフリーランス保護法について解説します。

2 対象となる取引(2条)

この法律が対象とするのは、特定の発注者(業務委託事業者)がフリーランス(従業員のいない個人事業者、法人の一人社長など)に対して業務委託をする場合、つまり事業者間の委託取引となります。

3 取引条件の明示義務(3条)

業務委託事業者がフリーランスに業務委託をした場合、直ちに、給付の内容、報酬額、支払期日その他の事項を書面か電磁的方法(メール、SNSなど)で明示しなくてはなりません。

4 期日における報酬支払義務(4条)

一定の要件を満たす業務委託事業者(大企業、中小企業、従業員のある個人事業者など…特定業務委託事業者)は、発注した物品等を受け取ってから60日以内のできるだけ短い期間で報酬支払期日を定めて支払う必要があります。

5 特定業務委託事業者の禁止事項(5条)

特定業務委託事業者は、フリーランスに対する以下の行為が禁止されます。

  1. フリーランスに責任がないのに、給付受領拒絶、報酬額の減額、返品をすること
  2. 通常の対価に比べて著しく低い報酬額を不当に定めること
  3. 正当な理由がある場合を除き、自己の指定する物や役務を強制的に購入または利用させること
  4. 自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させ、またはフリーランスに責任がないのに給付内容変更や給付のやり直しをさせ、もってフリーランスの利益を不当に害すること

6 募集情報の的確表示義務(12条)

特定業務委託事業者がフリーランスの募集をするにあたっては、広告等において虚偽表示または誤解を生じさせる表示をしてはならず、正確かつ最新の情報に保たなければなりません。

7 育休等対応、ハラスメント対策(13条、14条)

特定業務委託事業者は、継続的業務委託にかかるフリーランスの育児介護等について、申出に応じて業務との両立ができるよう適正な配慮をすることが求められます。
あわせて、業務委託に関連してセクハラ、マタハラ、パワハラが起きることのないよう、必要な体制の整備や措置を講じる必要があります。

8 中途解除等の事前予告義務(16条)

特定業務委託事業者は、継続的業務委託を中途解除または更新しないこととする場合は、少なくとも30日前までに予告しなければならず、理由開示を求められた場合は応じなくてはなりません。

9 違反行為への対処等(6条~11条、17条~26条)

違反行為等については、フリーランスから特定の窓口に申告ができ、行政機関による報告徴収、立入検査、指導助言、勧告、命令、公表、罰金などの手続があります。また今後、フリーランストラブル110番も設置され、弁護士による相談対応や和解あっ旋が予定されています。

【柏法律事務所】
所属弁護士:若松 俊樹(わかまつ としき)

プロフィール
東京大学法学部卒業、慶應義塾大学大学院法務研究科修了後、弁護士登録以降東京で3年半、茨城県水戸市で6年半強ほど一般民事や企業法務などの分野で執務。現在は東京事務所で、交通事故、労災事故、離婚・不貞問題などを中心に活動を行う。趣味は読書や音楽鑑賞、好きな言葉は「鬼手仏心」、「神は細部に宿る」。

交通事故解決事例

事案の概要
Xさんは片側1車線の道路を走行していたところ、交差する道から進入してきた加害者が運転する車両に、側面から衝突されてしまいました。
Xさんが運転していた車両は激しく破損し、また、Xさん自身も頚椎捻挫及び腰椎捻挫のけがを負いました。

被害者車両の時価額交渉

交通事故で破損した車両の修理費用額が、事故当時の車両の時価額を上回る場合は、加害者に請求できる損害賠償額は、車両の時価額(及び買替に必要となる諸費用)が限度となります(経済的全損)。
Xさんの車両は、経済的全損となりましたが、弊所へのご依頼前に加害者側の保険会社が提示してきた時価額は、新車価格の10%(約20万円)でしたので、到底納得のできる金額ではありませんでした。
Xさんの車両と同種、同程度の走行距離の車両価格を中古車市場で調べる等して、粘り強く交渉を続けた結果、弊所へのご依頼前に提示された金額よりも3倍程度高額な金額(約60万円)で示談することができました。

後遺障害申請・異議申し立て

Xさんは、事故から半年間の治療にも関わらず、首と背中に痛みや痺れが残っていましたので、後遺障害申請(交通事故の治療終了時点で完治せずに残っている症状の障害認定を申請すること)を行いましたが、結果は残念ながら、非該当でした。
Xさんは首や背中の痛みから、ご家庭での生活や仕事にも支障がでていましたので、非該当結果への異議申立てをご希望されました。非該当結果に対しては異議申立てを行うことができますが、新たな資料の提出がない限りは、結果を覆すことは難しいのが現状です。
そこで、異議申立てをするか検討するために、Xさんが通院していた医療機関から診療録を取り寄せることにしました。
診療録を検討した結果、Xさんが事故当初から一貫して痛み・痺れを訴えていたこと、治療終了間近になっても痛みが治まらず、痛み止めの服用だけでなく、ブロック注射も受けていたこと等が明らかになりました。これらの事情から、Xさん症状が後遺障害に該当することを主張して異議申立てを行った結果、無事、後遺障害等級14級を獲得することができました。

おわりに

自動車事故における物的損害については、加害者側の保険会社が提示する示談金額は納得のいかない金額であることが大半です。また、人的損害については、懸命な治療もむなしく、後遺症が残ってしまうことが多々あります。
弊所では、これまで多くの交通事故の解決実績がございますので、きっと何かのお役に立てることがあると思います。保険会社が提示してきた示談金額や後遺障害認定結果に疑問のある方は、ぜひ、弊所の法律相談にお越しください。

【船橋法律事務所】
所属弁護士:今福 康裕(いまふく やすひろ)

プロフィール
立教大学法学部卒業、慶應義塾大学大学院法務研究科修了。弁護士登録以前は、裁判所書記官として民事・刑事の裁判事務を務める。現在は船橋事務所で、交通事故、個人破産、刑事弁護などを中心に、困っている人を助け、寄り添った仕事をしたいという想いのもと活動を行う。趣味は映画鑑賞や格闘技観戦、好きな言葉は「おもしろきこともなき世をおもしろく」。

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