介護事業に関するさまざまなお悩みをリーガルケア

利用者と事業所職員のトラブル

モンスタークレーマーや不当要求

モンスタークレーマーの問題

過剰なクレーム、権利意識が異常に強い方などが「モンスタークレーマー」となることがあります。また、中には人格障害や精神疾患などが疑われる方もいます。

  • 連絡もなく、突然事業所に怒鳴り込む
  • 話し合いの最中に怒鳴る、大声を上げ続ける、机を叩く、イスを蹴る
  • モンスタークレーマーと通常利用者の区別の重要性
  • モンスタークレーマー・不当要求の具体例
  • モンスタークレーマー・不当要求への基本的な対処
  • 事前対策

モンスタークレーマーへの対策の重要性

介護事業者や介護施設に対して不合理な要求や要請を行う利用者や家族(モンスタークレーマー)への対応は必要です。対応に疲れ果て、精神疾患を引き起こす場合、退職にまで至るリスクもあり、事態は深刻です。

対応が職員個人に収まらず、対応に膨大な労力や事案を取られ、職員や責任者の肉体的精神的負担の増大や事業の風評被害にもつながりかねません。そこで、普段からモンスタークレーマー対策を整えておくことが重要になります。

セクハラへの対処

職員の身体を触る、性的な発言を行うなどのセクハラを行う困った利用者がいます。強制わいせつのような犯罪行為の場合には、刑事事件となる可能性があります。セクハラ行為が止まない場合や強制わいせつレベルのセクハラ行為を繰り返す場合は、退去処分などの厳しい警告措置を進めます。重い犯罪となることを警告する、などの毅然とした対処が必要です。退去処分や刑事手続きの可能性について、弁護士に相談されることをお勧めいたします。

不当要求への対応方法

事業所側に全く落ち度がない不当な金銭請求について、一度支払いをしてしまうと、繰り返し支払いを求められるような事態にもなりかねません。決して支払いをしてはいけません。もちろん、相手からの挑発・恐喝・脅迫による感情面での対立で話し合いが困難な状況になった場合には、弁護士を第三者として介入させることで、事態が解決に向けて進展する可能性があります。しっかりと毅然とした態度で行動していくためにも、それを裏付けする法律判断のできる外部ブレーンを確保することも検討しましょう。

理由のないクレームや嫌がらせは、刑法では、住居侵入・不退去・業務妨害・恐喝・脅迫・名誉毀損・侮辱などの犯罪行為に該当します。クレーマーの行動が止まらない場合、時には弁護士を対応窓口とするなどの対処が必要です。

モンスタークレーマーと通常利用者の区別の重要性

モンスタークレーマーの発生原因を検討することが対策の出発点となります。そもそも、認知症の利用者は、理性の低下により、普段より攻撃的な側面が出てしまうこともあります。また、利用者に問題行動があった場合、まずはケア内容に問題があったのではないかと職員や施設の責任に目を向けてしまうことも多いと思います。

何とか利用者の意思をくみ取る努力をする事業者・職員が大半かと思います。しかしながら、介護関係者としては、できることとできないこと、の線引きをひかなければなりません。重要な視点が、モンスタークレーマーと通常利用者の区別です。介護サービスやケア内容に関するクレームもその内容や訴える方法が適正適切であれば、対応が必要になることはもちろんです。しかしながら、その内容や方法が社会常識に照らしておかしなものであれば、適正な利用者ではありません。

不合理な要求をすべて受け入れる必要はなく、問題行動者として然るべき対応が必要です。通常の利用者とモンスタークレーマーの区別をつけることが最も重要です。

モンスタークレーマー・不当要求への基本的な対処

家族などのモンスタークレーマーの言い分をいつまでも聴取する必要はありません。対応に必要と思われる常識的な時間が経過すればお引き取り頂き、それでも居座る場合、警察への通報も必要となります。

大声のクレームや激しい態度などについては、「そのような乱暴なお話や行為はお止めください」「身の危険を感じますので、これ以上のお話は難しいです。」「ほかのご利用者が怖がっています。」「犯罪になりますので、110番通報しますがよろしいでしょうか?」など毅然とした対応をとる必要があります。

職員が大声でクレーマーに対抗することは必要ではありません。具体的な対策としては、以下のような対処が考えられます。

  • 利用者や家族以外の人物の侵入時の警察通報を練習する
  • クレーマーとは話す場所と時間を限定する
  • 複数人で対応する
  • 男性職員中心で対応する
  • 席の配置に注意し職員は部屋の出口に近い席に座る
  • 周囲に物を置かない
  • 密室で話をしない
  • 録音をする

その他、

執拗に説明を求める利用者
介護サービスに対する説明の要求や介護サービスへの不満・改善要求と不合理なクレームを区別することが重要です。事業者からの説明を受けても執拗に同じことを確認したり、保険外のサービスを無料で提供するよう求めたり、自分だけの特別扱いのケアを求めたりする利用者が存在します。介護事業者と利用者との間で締結される契約は、適切な介護サービスを行い、その説明も社会通念上十分と考えらえる限度で行えばよいとされています。不合理な要求については、ハッキリと「NO」と伝えても、問題はありませんし、それが度を越える場合は、介護サービス自体を拒否しても問題ないといえるでしょう。
利用料を支払わないにも関わらずサービスを受けようとする利用者
保険不払いの利用者が、介護サービスを求めてきた場合、法律的には介護サービスを行う必要がありません。未払い分の支払いを約束しない場合など、今後も支払いを行わないことが見込まれるようなケースでは、緊急時を除いて介護サービスを拒否しても正当事由があるといえるでしょう。

事前対策

モンスタークレーマーが現れる前に介護事業者としてどのような対応をとるべきでしょうか。まずは、要求された内容や証拠となる資料等を記録保管することが重要です。民事刑事問わず後日証拠の有無が結論を左右することがありますし、要求を繰り返すケースではその回数や内容が重要になります。また、職員や関係者からヒアリングを行い、事実関係の確認も慎重に行いましょう。防犯カメラを設置する方法も有効です。

モンスタークレーマーと面談を行う際には、録音機器を事前に準備しておきましょう。問題発言だけでなく面談全部の録音を行い、参加者が誰かわかるように工夫しておけばより万全です。介護施設内で対応マニュアルを整備しておくことが重要です。予想されるモンスタークレーマーの言動がどのような水準に達すれば、どのような対応をとるのか事前に決定し共有しておきましょう。利用者・ご家族という立場だけで言いなり対応する必要はありませんし、そのような対応がより利用者の態度を増長させる危険性もあります。

また、マニュアルを策定しておくことで利用者間の不平等もなくすことができます。特定の利用者を特別扱いすることは、特別扱いをしてもらえる介護施設だというレッテルを張られるとともに他の利用者に対しては不平等感を惹起させ介護施設の信用低下につながります。

また、モンスタークレーマーの情報を介護施設内で共有することも重要です。モンスタークレーマーは、どのような介護事業者や介護施設でも発生する可能性がある一方、ある日突然現れます。モンスタークレーマーの問題は、その対応を誤ると膨大な労力と時間を消費する可能性があります。

モンスタークレーマー対策を検討し、介護事業所全体でモンスタークレーマーの言いなりにならない環境を整えていくことが重要です。

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